パナマ運河の土木技師としてスウェーデンからパナマに渡ったジャンソン一家は、1940年代、二代目カール・ジャンソンの代に、チリキ県に移り住み、ボルカン・バル火山の中腹にあるこの地域と周りを囲む環境が故郷のスウェーデンに似ている事から、この土地に落ち着く事になりました。二代目カール・ジャンソンはパナマで最初の自動化酪農場を造り、ボルカン高原の開拓を進めました。そして2000年代初頭、三代目カール・ジャンソンが始めたのがコーヒー農園です。ボルカン高原の豊かな火山土壌、コーヒーに適したマイクロクライメイト、そして 1500m以上ある標高が良質なコーヒーを育てる条件にとても適していると感じたからです。
ゲイシャの木は多種のアラビカコーヒーの木に比べ実るチェリーの数が半分ほど。さらに良質で大きな実を実らせるまでには苗を植えてから5年以上かかります。ゲイシャ栽培初期には多くの収穫を見込んで沢山植えましたが、日光不足により木の育ちが悪く、カールはゲイシャ種を育てる難しさを痛感します。3割近くのゲイシャの木を切り除き、それぞれの木に十分な間隔を与えて光・影・風を得ることが出来るように環境造りをしました。2012年になってようやく期待通りの質のゲイシャ・チェリーが実り、そして2013年に初めて自慢のゲイシャコーヒーを国際オークション(Best of Panama )に出品しました。世界より集まったスペシャルティ・コーヒーの認定士によるカッピング評価で2位と評され、米国やヨーロッパより多くの買い手が農園を訪れる様になりました。
ゲイシャ種は粒が大きく細長い外観をしており、非常に秀逸なジャスミンを思わせるフローラルなアロマと、ベルガモットのような柑橘系の高貴な風味、紅茶のようとも形容される驚くほどすっきりとした甘味を伴ったクリアな質感が特徴的です。このLot893はジャンソン農園が作るゲイシャ種らしいトロピカルさも感じながらもストロベリーのような濃厚な甘酸っぱい酸味も楽しんでいただけるコーヒーになります。
2004年のBest of Panamaでスペシャルティコーヒーの世界を席巻したパナマ・ゲイシャ種は、現在でも最も注目を集めている品種のひとつです。